小中学校に備わっている施設の一つ、「プール」。
子どもたちからの人気も高いプールですが、プールは使用する期間が限られているということもあって汚れてしまいがちです。
水をはっているということもあり衛生的にも良くないため、プールが汚れてしまっている場合は早めの掃除が必要ですが、プールの正しい掃除方法をご存知でしょうか?
先ほども触れたようにプールには水がはっているため、正しい方法で掃除をおこなわないと事故につながってしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、プールの安全で正しい掃除方法について紹介していきたいと思います。
プールの掃除を検討している職員の方は、ぜひ参考にしてみてください。
<目次>
まず初めに、プールの水が汚れてしまう原因について解説しておきたいと思います。
プールの汚れには種類があります。
それが、目に見えるタイプの汚れと目に見えないタイプの汚れです。
実際に汚れてしまっているプールを見てもらえるとわかるかと思いますが、プールの表面に浮いている浮遊物やプールの底に沈んでしまっている沈殿物が、いわゆる「目に見えるタイプの汚れ」です。
目に見えるタイプの汚れは、風などによって飛ばされたゴミなどがプールに入ってくることで蓄積してしまうことがほとんどです。
この目に見えるタイプの汚れは、浮遊物や沈殿物を拾って除去することで綺麗にすることができるので、比較的対応しやすい汚れだと言えるでしょう。
一方、厄介なのが「目に見えないタイプの汚れ」です。
目に見えないタイプの汚れとしては有機物など細かな物質があげられますが、目に見えないタイプの汚れが発生する主な原因は、プールに入る子どもたち自身に付着している汚れです。
プールに入る際、子どもたちの身体には汗やあかといった汚れが付着しています。
また、化粧している子がいる場合はそれも汚れになりえますし、ヘアワックスをつけている場合も汚れになりえます。
小学校低学年の子の場合プール内で排尿してしまう可能性もありますが、尿に含まれるアンモニアなども汚れとしてプール内に蓄積されてしまいます。
これらが原因となり、プールはどんどん汚れていってしまうわけですね。
プールの水はさまざまな要素が原因となって汚れてしまうと解説してきました。
子どもたちにプールを使用される場合、これらの汚れをしっかりと取り除いてあげることが何よりも重要になってきますが、それと同じくらいプール内の「菌」についてもしっかりと除去しなくてはいけません。
プールには汚れだけでなく、アデノウイルスや大腸菌などの危険で厄介な菌が潜んでいる可能性があります。
アデノウイルスや大腸菌は人の粘膜部分からプール内に排出されてしまいます。
アデノウイルスに感染してしまった場合は風邪に似た症状が引き起こされ、大腸菌に感染してしまった場合は激しい下痢などにみまわれてしまう可能性があります。
特に重症化するリスクのある大腸菌には気をつける必要があると言えますね。
このように、プール内には汚れだけでなく細菌が発生してしまう可能性もあるため、プールを使用する際は細菌の除去も徹底しなくてはいけません。
では、プールの具体的な掃除方法について詳しくみていきましょう。
プールの掃除方法は、冬の間などしばらく放置しているプールを使用する際の掃除方法と、夏の間授業で頻繁に使用する際におこなう日常的な掃除方法とがあります。
冬の間などしばらく使わずに放置していたプールは汚れが大量に蓄積し、菌も大量発生している可能性があるので、しっかりと掃除しなくてはいけません。
そのため、水を抜いてからの掃除が必須になります。
まずは貯水している水を全て抜きましょう。
水を抜いたら手で取り除けるゴミを取り除いていきます。
ゴミを取り除いたら、洗剤とデッキブラシを使って、プールの壁面に付着した汚れをしっかりと落としていきましょう。
壁面についた洗剤をしっかりと洗い流したら、綺麗な水を貯水しなおしていきます。
充分な水を貯水したら、水中の菌を殺菌するための塩素系消毒殺菌剤を入れていきます。
これでしばらく放置していたプールの掃除は完了となります。
先ほどはしばらく放置していたプールの掃除方法について解説しましたが、プールを授業で使用する時期であっても定期的に掃除する必要があります。
とはいえ、毎回水を抜いて掃除するわけにもいかないので、塩素系消毒殺菌剤で菌を除去する掃除が主になってきます。
無機系の塩素剤や有機系の塩素剤を投入し、殺菌をおこなっていきましょう。
ただし塩素系消毒殺菌剤を使用して掃除をおこなっていく場合は遊離残留塩素の濃度測定が大切になるので、各学校などのやり方を踏襲しながら濃度測定をおこないつつ、しっかりと掃除をおこなうようにしてください。
ここまでプールの掃除方法などについて詳しく紹介してきましたが、最近ではプールを廃止する学校が急速に増えてきているということをご存知でしょうか?
ここまで紹介してきたように、プールを綺麗に保つにはかなりの手間がかかります。
また、コストもかかりますし、何より子どもたちが細菌に感染してしまうリスクもあるため、構内のプールを廃止する動きが加速していきているわけです。
平成8年には、全国で20,111校もの小学校と7,646校もの中学校がプールを保有していましたが、平成27年には、プールを保有する学校がそれぞれ15,163校と5,657校にまで減ってしまいました。
これには少子化による学校の統合なども関係していますが、それを考慮したとしても1,000校以上が保有しているプールの利用を廃止したことになります。
そうなるとプールの授業も廃止になるのかというと、そういうわけではありません。
プールの授業は、公営のプールや民間のスイミングスクールが保有するプールを使い、継続しておこなっていきます。
そうすることでプールを管理する手間やコストを削減できますし、公営のプールや民間のスイミングスクールが保有するプールはしっかりと水質管理がおこなわれているので細菌感染のリスクも低くなります。
この流れは今後も加速することが予想されるので、今現在校内のプールを使用している学校は、プールの使用を継続するか廃止にするかについても考えていく必要があると言えそうですね。